「3度目の春に感謝の思いを込めて・・・」
            

                   
                              
 小学5年生に上がるのを機に、住み慣れた岩手を離れ、お父さんの待つ仙台にやってくることになりました。
 初めての転校。そして初めての養護学校。
「うちは人数が多いので、駿平君に入っていただいてもあまり手をかけられないと思います。」
と明らかに拒絶状態の地域の小学校に対し
「うちも人数は多いのですが、駿平君に入っていただけたら精一杯頑張ります。」
と言っていただいたN学校に転入を決めたのは、自分の意志を伝えられない駿平本人ではなく、親である私の「直感」でした。
 しかし我が子とはいえ、人の人生のサイコロを自分が振ってしまったことはものすごい重圧であり、
「本当にこれで良かったのか?」と何度も何度も自分に問いかけ、眠れぬ夜を幾夜も過ごしました。でも
(N学校の方がきっと駿平は楽しく通えて成長させてもらえるはず!)
・・・そんな『予感』が 『確信』に変わるまで、そう時間はかかりませんでした。
 N学校に転入してみると、小学校の特学の頃とは違い、「クラスメイト」がたくさんいました。そのクラスメイトとじゃれ合ったり、
時にはCDの取り合いをしてケンカ?したり。そういう「世の中には思い通りにならないこともある」ということを学べたことも
本当に良い経験でした。今思えば、それまでの駿平は先生1人に自分一人。わがままも何らかの条件つきで結局はいつも
通る形で終わっていました。でもN学校ではそうはいきません。癇癪を起こしても叶わないものもあるのだと理解してからは、
癇癪も減ったように思います。
 また、小学校ではたまに普通の子達のクラスに混ぜてもらうことはあっても、それは『一時的に混ぜてもらっているだけ』
であり、決して『仲間』になれてたわけではなかったのです。
でもN学校に入って、本当の意味での『クラスの一員』になれて、やっと本当の「駿平の居場所」を見つけられたような気がしています。
 駿平が毎日楽しく学校に通っているのが、「この学校を選んで正解!」という何よりの『答え』ですよね。
 また、先生方の愛情をひしひと感じる2年間でもありました。
 夏休みに学校のプールに行くと「駿平君!」と声をかけてくださる見知らぬ?先生方。
出会う先生全員が駿平のことを知っていてくれるなんて感激でした!
 私の顔を見ただけで「今日駿平君がね・・・」と語りかけてくれるT先生。たくさんの児童を覚えるだけでもすごいのに、
保護者の顔まで覚えてくださるなんて本当にすごい!
 そして駿平のいいところを見つけては連絡ノートで教えてくださった担任のA先生とT先生。子供達が喜びそうな授業を
いっぱい考えて取り入れてもくれました。クッキーを焼く授業ではお家で予習もしてくださったA先生。イラスト入りの連絡ノートは
いつ読み返しても温かい気持ちに包まれます。そして「かわいすぎです」と言っていつも駿平を大きな腕で抱きしめてくれたT先生。
お二人の情熱は本当にすごい!言葉にはできないくらい感謝の気持ちで一杯です!
 そして最後に、晴れて小学校を卒業する駿平へ・・・・。
 いつもいっぱいお手伝いをしてくれてありがとう。時々失敗もしてくれるけど、「手伝おう」という気持ちが嬉しいし、
ちゃんと説明をしてないお母さんが悪いんだな、と気づかされて良い勉強になるよ。
 駿平との生活は「不便」なことも確かにあるけど、「不幸」と思ったことは一度もないよ。負け惜しみではなく本当に、
駿平が駿平であってよかったと思っているよ。駿平のおかげでお兄ちゃんは優しい子に育ってくれたし、
お母さんも強い人間になれたから。人の優しさに心から感謝出来たり、「空は青い」と改めて知るような、当たり前だけど大
事なことにも沢山気づけたから。それから「今日はこんなことが出来た、あんなことが出来た」って、未だに子供の成長を
数えられる楽しみがある。それも駿平を育てているからこその「特権」だよね。
 仙台に来て3度目の春・・・いよいよ4月から中学生! これからもどんどん新しいことにチャレンジして一緒に成長していこうね!

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